野崎:CDにするために80分で収める、という作り方はもういいかなと。昔から1曲完成するまでに、5曲くらいはボツにしてるんです。お蔵入りしている音源がたくさんあって、本当はそれも聴いてほしいし、応援してくれている人は聴きたいと思ってくれているだろうけど、アルバムにはコンセプトが必要で容量に限りもあるから諦めるしかなかった。でも今は自分ですぐに発信できる時代じゃないですか。これも、地震がなかったら考えなかったと思います。いつも通りリリースしていたら「次のアルバムはどうしようかな」って当たり前のように考えていただろうから。
―配信するということですか?
野崎:まだ分からないけど、そうなると思います。ずっと続いている流れを変えないと、聴いてくれる人も増えないだろうし、自分もつまらなくなっちゃう気がして。それにできれば個人として配信したいんです。レーベルにはそれぞれの色があるから、中にいるとできないことが出てくる可能性もあると思うんです。Jazztronikは野崎良太の中のひとつであって、現代音楽をやる僕もいればジャズをやる僕もいる。それをすべて同じレーベルの中でリリースするのは難しいだろうから。
―なるほど、今は個人で配信することも難しくないですしね。
野崎:だから恵まれてるんですよね、僕たちは。やろうと思ったらすぐに自分でできる時代になったんだから。CDが売れなくなったことを違法ダウンロードのせいにする人がいますけど、それは新しい魅力を持った音楽が作れていないことの言い訳ですよ。売れないことを流通システムやレコード会社のせいにする人に、アーティストを名乗る資格はないと思うんです。